CASE 04 二律背反収家
大きく突き出た軒が印象的なM邸。左京区の落ち着きのある住宅街に建築されたこの住まいは、2つの相反する要望を持った4人のご家族のためにつくられました。
プランニング前に、ご主人が話された要望とは、「住宅が密集するため、近隣からの視線や人の気配を気にせず生活できること」と「明るく開放的な生活を実現できること」。この相反する2つの要望をいかに成り立たせるかが設計の課題でした。
そうして生まれた設計コンセプトは、「Open&Closed」。外部から内部へ向かっては閉じ、内部から外部へ向かっては開く設計としました。まず、外観は外からの視線、道路からの距離、隣家の窓の位置および高さを考慮して設計されています。外塀は圧迫感を抑えながら視線を遮るように配置、玄関までの距離をとるため、アプローチにも奥行きを持たせました。全面の道路は日中交通量が多く、騒音も大きいのですが、これにより防音効果が得られ騒音も軽減します 。
内部は2階にLDKを配し、屋根勾配を活かした吹き抜け天井とすることで開放性を高め、 空に視線が抜けることで閉塞感が生まれないように配慮。 隣家の窓高さと内部からの見え方を緻密に検討することで無駄に閉じすぎないように設計しました。
一つの住まいに収めた、2つの反する命題。それぞれの主張が巧く混ざり合うことで、居心地の良い空間が実現しています。
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