CASE 08 オリエンタルデザインの家
もともとご実家だった建物の主要構造を大事に残しつつ、現代的な暮らしに合わせて再生させたS邸。S様からは、大きく2つのご要望をいただきました。1つは、小中学生のお子様3名とご夫婦が、常にLDKに集まってわいわいと楽しく毎日を過ごせる家にして欲しいこと、もう1つは毎年決まって訪れるマレーシアのリゾートホテルのような雰囲気にして欲しいということでした。
ご要望をお受けし、家族皆がそれぞれ別々の事をしていても同じ時間を共有していることが実感できるようにLDKは完全一体型の空間として計画しました。壁面の一直線に通った収納は、「繋がり」をテーマにしたことによって生まれたデザインで、上部に仕込まれている間接照明を点灯すると直線が更に強調され、より空間の一体感を感じられる工夫が施されています。
アジアンリゾートを意識して、木材の色調は全て焦げ茶色に統一し木材以外は白色にまとめることで、コントラストが美しいすっきりとした空間に仕上がりました。また随所に設けられた格子やルーバーは、和風にならないよう寸法やピッチを慎重に検討した甲斐もあり、空間に変化を与えオリエンタルな雰囲気を醸し出すのに貢献しています。
新築同等の断熱を施し、無垢のフローリングに温水床暖房、壁は珪藻土の左官仕上げ。新たな装いでリニューアルしたS邸が、また次の世代へ大切に受け継がれていくことを見守りたいと思います。

キッチンからリビングダイニングを見た様子。リビングから外へ出ると、同一宅地内に建つゲストハウスとの中間に備えられた屋外ダイニングがあり、まさにリゾート気分を味わえる。ダイニング横の縦の格子がLDKとファミリールームをやんわりと隔てている。

リビングの隅を出窓にして、そこにTVボードを造作。カーテンが壁内に仕舞われるように設計されており、電動でコントロールできる。キッチンが「料理のための設備」ではなく、LDKを素敵に演出する家具として存在していることがうかがえる。
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