CASE 12 団欒の家
T邸は桃山の閑静な住宅地に、ご夫婦と育ち盛りの三兄弟のために建築されました。
T邸の設計にあたって意識したテーマは、敷地の向かいにある公園の豊かな緑をLDKから眺められるように活かすこと、とはいえ前面道路からの視線は遮ること、隣接する共同住宅に対して音やプライバシーを気にせず安心して暮らせること、家族皆がいつもLDKに集まって和気藹々と過ごせるような住環境をつくることでした。
完成したLDKは、どこにいても公園の緑と庭木を楽しめるひと続きの大空間で、ダイニング上部の大きな吹き抜けから南の光が降り注ぐ設計となっています。庭を囲う塀は、道行く車や人の視線を遮りつつ公園の木々を借景として活かせるちょうどの高さに設計されています。そして、共同住宅側にあたるTVボードの背面には、大きな開口部を取りヤマボウシを植えつつ、音やプライバシー確保のため、すぐ先に建物と一体となった高い壁をつくりました。木が1本やっと植わる狭いスペースですが、時間帯によって壁の表情が変化し、時間の流れを楽しむことができます。またダイニング横に設けられたスタディコーナーへ光を届ける役割も担っています。
夏はエアコンを少しつければ涼しくなり、冬は床暖房だけでとても暖かく過ごせる本格的な高気密・高断熱工法を標準仕様としているALLの家。その特徴を活かしたおおらかな空間構成は、開放的な居心地の良さに結実し、家族が自然と集まる団欒の間が生まれたのではないかと思います。
3人のお子さんが成長する過程で、この住宅から少しでも何かを感じ取ってくれたなら、それはとても幸せなことです。
リビングのゆったりしたソファからは、2.4m×2mのFIX窓越しに落葉樹のヤマボウシが眺められ、日々季節の移り変わりを実感できる。
背景となっている壁は建物とひと続きの造りになっていて、隣り合う共同住宅との境界を隔てる役割も担う。
外部に少し張り出したデッキが視覚的な広がりを生んでいる。
大きく吹き抜けたダイニング上部には、換気機能も兼ねた窓が設置されており、
上部から注ぐ光によって空間が縦横に開放されていることを実感できる。
キッチン周辺の家具やダイニングテーブル、スタディコーナーの造作物、ルーバーや階段に至るまで全てタモ材で統一。
ゆったりとした空間に木材が放つ柔らかさが加わり居心地の良さを生んでいる。
夜のLDK。ナチュラル色の木材で仕上げられた空間に、落ち着いた茶色の置き家具を合わせた。
床材や造り付けの家具・建具などの建築木材が経年に伴い味わい深くなることを考慮し、置き家具には使い込むほど味が出る上質な革を選択した。
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