CASE 19 石釜のある平屋の家
K邸の建つ兵庫県の中西部に位置する宍粟市山崎は、一級河川の揖保川が流れ、緩やかな山々に囲まれたのどかな町です。京都までは車で2時間程かかりますが、K様はALLでの設計施工を強く希望して下さいました。
田圃だった土地を道路とフラットに造成した敷地は約170坪。4人の家族が住むには余りある広さです。そこで、15.6m×16.6mの大きな切妻屋根がシンプルに掛かる平屋の住宅を考えました。昔からこの地で育った奥様は、友人をたくさん呼んで賑やかに楽しめる家を望まれていましたので、ワンルームにまとめたリビング・ダイニングキッチンと繋がるテラスには、本格的な石釜とBBQ設備・洗い場を造り、テラスのデッキ材を使用したテーブルとイスも造作しました。この住まいの最も印象的な場所になったと思います。
外観は周辺環境との調和を図りあえて単純な構成としつつも、内部空間に対しては、家の中心に設けられた中庭が単純ではない個性を生み出しています。当然デザインだけではなく、採光や通風といった快適性にも大いに役立っています。
上質なタモやナラの木をふんだんに使ったK邸。壁に使用した黄土色の珪藻土やベージュのタイルが木材と調和し、より一層温かみの感じられる空間に仕上がりました。時間がゆっくりと流れる宍粟市で、自然素材に囲まれた暮らしが営まれていきます。
ダイニングとフラットに繋がるテラスには、BBQコーナーとデッキ材を利用したダイニングセットを造作した。BBQコーナーには本格的な石釜もあり、ほんの数分でレストラン並みのピザが焼き上がる。内部は屋根勾配に合わせた吹抜け天井とし、平屋ならではの大らかな空間が広がる。
夜のBBQコーナー。大人数でディナーも楽しめる。テラス際の照明が演出性を高めている。 左頁/家の中心に配された中庭は、玄関ホール・和室・リビング・各寝室を繋ぐ廊下、ロフトなど各所への採光と通風を担っている。切り取られた空が美しい。
ダイニングの横に設けられたデスクの先にはのどかな風景が広がる。デスクの奥行きは60cmあるためデスクトップPCを置いても狭くない。物が散乱しがちなデスクサイドにはたっぷりと収納を確保。プリンターなどもここに収めれば、使いやすい上見た目もすっきりする。
リビングダイニングは緩い勾配天井の開放的な空間。吹き抜けた大きな空間を支える構造的な梁がデザインとして活かされている。リビングダイニングの壁には黄土色の珪藻土を塗り、キッチンの壁にはイタリア製の淡いベージュのタイルを採用。木材の発する柔らかさと暖色の壁が相まって優しい雰囲気の空間に仕上がった。
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