CASE 27 石と木の家
Y様が国立京都国際会館に程近い敷地を購入されてから数年。いくつかの設計事務所にプランを提案してもらい打合せを重ねてこられたそうですが、なかなか思うようなものが出てこず、ALLへ相談に来られました。
細かなことはお伝えにならず、「夫婦二人と犬二頭がリラックスでき、庭と生活がつながる開放的な住まいを」という、軸になる思いだけをお聞きしプランがスタートしました。
まずは広い敷地において、豊かな緑を室内にもたらす中庭を敷地の片側に長細く配置し、それを囲むような形で玄関ホール・リビング・アウトダイニング・ダイニングキッチン・バスルームを隣接させました。どのエリアにも天井までの大開口を設けたおかげで、明るく、庭ともつながった空間になりました。
ダイニングキッチンは大きく吹抜けた空間で、縦に伸びる石の壁が2階に設けたライブラリーとのつながりを強調する役割を果たしています。また、アウトダイニングや中庭ともつながっており、とても開放的なエリアとなりました。
リビングは、ダイニングキッチンとは違った居心地を生むため、壁面に収納された天井までの建具によって、独立させられる落ち着きを重視した空間としました。映画やスポーツなどを観たり読書をするのに最適な、リラックスできる居場所になったと思います。
リビングとダイニングキッチンの間に設けたアウトダイニングは、二頭の犬が庭で遊ぶ様子を、緑越しに愛でながらコーヒーを飲むひと時をイメージしてプランしました。内装木材のぬくもりや庭の緑がより映えるのではないかという考えから、アウトダイニングの仕上げは無彩色に統一しています。
前面道路からの視線を遮る役割を果たすエントランスとガレージは、一直線に伸びる庇でつながり、敷地間口を活かした外観デザインになりました。
「いつか森のような庭にしたい」と話すY様。豊かな緑を楽しめる住まいは、充実した時間を与えてくれるに違いありません。
リビングダイニングの壁には、マグマが冷えて固まり生成された火山岩を使用。リビングからダイニングを通って水廻りまで、ALLオリジナルの木製サッシと火山岩の壁が交互に配列された空間構成となっている。TVボードは壁の一部が飛び出たようなデザインに。リビングルームは壁内に納められた吊り戸によって仕切ることも可能。
ゆとりのあるダイニングキッチンからアウトダイニング、リビングを望む。ゆるりと繋がった各エリアは、連続性を保ちつつ天井高さや床、壁の仕上げを変えることで、それぞれ違った居心地を楽しめるように工夫されている。
縦に5.6m延びる石柱が吹抜けを強調したダイニングルーム。窓にはALLオリジナルの木製サッシを採用。各窓の上部にはウォールナットの無垢材を使用したカーテンボックスを設け、電動ロールスクリーンを格納している。
2階ライブラリーの壁面にはY様所有の美術品と関連書籍を展示するため、4段26列の飾り棚を備えた造作家具を設置した。家具前のスペースには、ご主人が収集している名作チェアを数脚置き、寛ぎのスペースとして活用する。
ALLオリジナルの造作キッチン。長さ3m×奥行き1.1mのアイランドキッチン天板は1枚のシーザーストーンで仕上げた。アイランドや壁面の収納は、他の家具や建具と統一性を持たせるため、ウォールナットを採用。簡単に食事を済ませたい時に活躍するスツールは、特注によりキッチン高さに合わせて脚の長さをカットした。
ポーチの夜景。H2.5mの両開き門扉は、四方をスチールで製作し、玄関扉と同材の組子を嵌め込んだALLオリジナルデザイン。庇は2重にかかっており、上部の庇は門扉から2.7m、下部の庇は2.3m張り出している。軒天井にはどちらもチークの無垢材を使用し、来訪者を温かく迎え入れる。
夜のアプローチ。踏面に1枚物の天然石を使用した階段の横には、約1.2m×0.9m、厚さ10cm程の天然石を据えた。壺などを飾っても良いし、何も置かなくても石そのものが存在感を放っている。玄関扉は、電気錠を組み込み、無垢材で製作したH2.7mのALLオリジナル高断熱ドア。左手は駐車場へと続く。
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