CASE 28 洛中の回廊邸宅
洛中の角地に建つM邸は、伝統的な和風様式の中に現代の感性を加えた住宅です。周囲にマンションやビルが建つ洛中の住宅とあって、プライバシーをしっかりと確保すること、それでいて明るく開放的に過ごせることが一番の課題でした。
ゆとりのある敷地を活かし、建物を回廊型にして囲われた中庭をつくりました。生活の中心を1階に据えることで、仰角でも周囲のマンションやビルの存在を消すことに成功しています。2階より採光が不利になりますが、リビングダイニングに吹抜けとそこに面した大開口を設けることで、開放的で明るい空間を実現させました。
玄関や和室、書斎コーナーや洗面室に至るまで中庭との繋がりを持たせ、各所における採光を確保しつつ、中庭を介してどこにいても家族の気配を感じながら安心して過ごせる住まいになったと思います。
リビングとダイニングを貫く吹抜けは、M邸の大きな特徴となっている。開口部には無垢のオーク材を使用してカーテンBOXを造作し、電動ロールスクリーンを仕込んでいる。壁は珪藻土で塗り仕上げ、天井には桐の羽目板を、床には幅広のオーク材を採用。内部の床に高さを合わせたウッドデッキによってさらに広がりを感じられる。
造作キッチンの様子。リビングダイニングからはクッカーや冷蔵庫、家電収納が見えない設計となっているが、調理時の動線は短く使いやすい。天板の一部はテーブルとして使用でき、さっと軽食で済ませたい時などに便利。
LDK棟の反対側に位置する2階の廊下。等間隔で壁面に埋設されたアッパーライトが、天井の桐羽目板を照らし、LDKからも空間の繋がりを感じられるよう配慮。中庭に面した窓は全てFIX窓にして床まで開口しているため、どこにいても中庭を中心とした回廊タイプの住宅であることが感じられる。
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